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君をこんなに愛してる
第2章 奪われた幸せ
「…栞」
「……っ」
絢人さんは株を置いて、土が付いた手でわたしが汚れないように気を付けながら、そっと抱き寄せてくれる。
「君に内緒で、勝手に話を進めた事を申し訳ないと思っています」
こんな嫌な恋人なのに
絢人さんは優しい──。
「そうしたのには理由があります。君が僕を止めると思ったから…それで僕の決心が…揺らぐから」
いつもの穏和な声が、頭の上で囁かれる。
「…もう決まったことなの?」
「そうです」
「視察はどのくらい?」
「…長くて、二年」
「わたしも一緒に…」
一緒に行きたい
そう言いかけてわたしは口をつぐんだ。
“ そんなことできるわけない… ”
わたしはこの家の使用人だから、勝手な真似はできない。