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君をこんなに愛してる
第2章 奪われた幸せ
彼は近々、日本を離れ、遠く異国へ旅立つのだという。
そこはわたしが名前も聞いたことがないような国で、国交を開いて間もないのだそう。
貴峰商事はいち早く手を打ち、その国との交易を考えているらしい。
そこで視察員に名をあげたのが絢人さん。
…それが話の内容だった。
「栞には寂しい想いをさせてしまいます。でもこの視察を引き受けないわけにはいかない。次期に会社を背負う立場になる僕にとって、会社の成長に貢献できるチャンスなんです」
「……」
「わかってくれますか?」
「その国…危なくないの?」
絢人さんはわたしの恋人である前に
貴峰商事の大事な跡取り。
仕事の話に私情をはさんではいけない。そんなことはわかっているけれど…。
「絢人さんのことが心配よ」
「…確かに、日本に比べたら治安は悪いです」
「わたしは嫌です。そんな所に行ってしまうだなんて…」
「栞…」
「会社に貢献する方法なら日本にいながらでも他にあるでしょう?ここにいて欲しいです、わたし…」
わたし…いま
いやな恋人だ……。