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君をこんなに愛してる
第3章 奇跡
「こんなところにいたのね、栞さん」
「…お…おはよう、ございます」
いけない
仕事中に泣き崩れるなんて
わたしは使用人なのに。
「ごめんなさい。こんな、見苦しい姿をお見せしてしまい…っ」
「いいのよ…ああ、可哀想に」
奥様はとても親切に接してくれる。
絢人さんの恋人であるわたしだから…と、気遣いを見せてくださる。
ベランダまで来た奥様は、わたしの背をさすりながら話しかけてくれた。
「絢人の事を思い出していたの?」
「…は…い」
「あの子がここを経ってもうすぐ一年だわ。それでも栞さんの悲しみは薄まらないのね…」
「もちろんです…」
奥様はわたしに同情の目を見せながら
──そして
不思議な微笑みをその顔に浮かべた。