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君をこんなに愛してる
第4章 空白の記憶
やっと会えたと、喜んでいたのに
貴方はわたしを忘れてしまったの?
そんなの悲しすぎる。
わたしはいよいよ涙を堪えきれなくなって、零れるそれを手の甲でぬぐい始めた。
「…そんな…っ、忘れるだなんて……わたしは一日だって…貴方を思わない日はなかったのに…!!」
「栞さん──」
肩をひくつかせて子供のように泣く
そんなわたしを気の毒そうに見つめる奥様。
…しかし目の前の絢人さんは
わたしを心配するそぶりを見せなかった。
「──…恋人…、栞が、僕の恋人…?」
「…ひく…っ、ぅ、ぅ…」
「夢を見ているようです…!ずっと好きだった君と恋人どうしだなんて」
彼は感動しているようだった。
わたしの口から出た、恋人、という言葉を深く噛み締めているみたいだった。