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君をこんなに愛してる
第4章 空白の記憶
抱き締められた力強さが嬉しくて、わたしが頬をゆるめた時──
「は…、しまった」
「え…!?」
「いきなり抱き付くなんて…っ、申し訳ない。なんて失礼な真似を」
「…どうして…」
またしても彼の態度に不自然さを感じて、わたしは不安に襲われた。
慌てた様子でわたしを解放した彼に、思わず泣きそうな顔をしていた。
「どうしてそんな事を言うの?絢人さん…、わたしは貴方の恋人でしょう?」
「──恋人…!?」
「……っ」
違う──…。
この人は絢人さんじゃない。
「…驚かせてしまってごめんなさい。実は絢人にはここ数年間の記憶が抜けてしまっているの」
「奥様…!? 記憶が、って?」
「言葉のとおりよ。…残念だけれど。ここ三、四年に自分が何をしてきたか、誰と会ったのか、全て忘れてしまっているのよ」
「そんな──」
記憶喪失──?
わたしは思考が真っ暗になった。