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君をこんなに愛してる
第6章 温もりを重ねて
玄関の階段を上がろうとした時
はたと、絢人さんは立ち止まった。
「そこの花壇、新しく種をまいたばかりですか?」
「ん?あ、それは…」
彼は花壇の一角──まだ茶色の土しか見えないその場所に目を向けて聞いてきた。
「新しく移植するつもりだよ」
「──…移植…?」
「絢人さんもこの前、見たでしょう?奥様の寝室で咲いている青い薔薇。せっかく綺麗に咲いているから、皆に見てもらえるようにここに植え替えようと思っているの」
「…あ、…ああ、そういう事ですか」
わたしはこの時、絢人さんがどんな表情をしているかを見てはいなくて。
いずれその場所に華やかに咲き広がるであろう…青い花を想像して笑っていた。
「──…青い薔薇、か」
そんな中で、絢人さんが呟いたのが聞こえる。