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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第6章 其の参

お彩は正直な想いを伝えた。紺色の着物を粋に着流している男の横顔は、どこから見ても非の打ちどころというものがおよそない。男前だと云われる父伊八を間近に見慣れて育ったお彩でさえ、その秀麗な容貌には見惚れるほどであった。
男の整った面輪を時折よぎる孤独の翳りは、かえって彼の端整な容貌に彩りを添えている。どこから見ても、身なりも物腰も立派な商人であり、しかも、お店(たな)の主人然としていて、威風堂々とした風格のようなものさえ備わっている。それなのに、どこか危うさを感じる雰囲気を纏っているのは、もしかしたら、彼自身の奥深くに巣喰う壮絶なまでの孤独や寂寥感に根差しているのかもしれない。
とにもかくにも、いかにもお店の主人風の彼に、そのような過去があるとは俄には信じられぬ話だった。
男の整った面輪を時折よぎる孤独の翳りは、かえって彼の端整な容貌に彩りを添えている。どこから見ても、身なりも物腰も立派な商人であり、しかも、お店(たな)の主人然としていて、威風堂々とした風格のようなものさえ備わっている。それなのに、どこか危うさを感じる雰囲気を纏っているのは、もしかしたら、彼自身の奥深くに巣喰う壮絶なまでの孤独や寂寥感に根差しているのかもしれない。
とにもかくにも、いかにもお店の主人風の彼に、そのような過去があるとは俄には信じられぬ話だった。

