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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第1章 第一話―其の壱―

それは、けしてあってはならないことだった。そう言えばと、お彩は改めて思ったものだ。お彩は物心つくかつかぬ頃から、母よりも父を慕った。むろん、母のことも大好きだったけれど、父のことも同じか、それ以上に好きだった。父の膝の上にいる時、父の逞しい懐に抱かれている時、ずうっとこのままでいられたら良いのにと思うほど幸せな満ち足りた気持ちになった。
お彩自身、そんな気持ちは父親を慕う娘としての気持ちだとしか考えてはおらず、それがまさか父に恋をしているだなどとは思いもしなかった。大体、娘が自分の父親に惚れるなどということが有り得るはずもない。畜生だとて、子が親に惚れるということはないだろう。なのに、自分はあろうことか血を分けた、自分をこの世に送り出してくれた実の父を愛してしまったのだ。
お彩自身、そんな気持ちは父親を慕う娘としての気持ちだとしか考えてはおらず、それがまさか父に恋をしているだなどとは思いもしなかった。大体、娘が自分の父親に惚れるなどということが有り得るはずもない。畜生だとて、子が親に惚れるということはないだろう。なのに、自分はあろうことか血を分けた、自分をこの世に送り出してくれた実の父を愛してしまったのだ。

