この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第1章 第一話―其の壱―

伊勢次は現在、日本橋の呉服問屋の普請仕事を任されていると聞いている。そこの隠居から貰った菓子を持ってきてくれたというのだ。お彩は微笑んだ。
「わざわざ、ありがとう。こんな時間でなかったら、上がってお茶でもどうぞって言いたいんだけど」
と、伊勢次は仰天した様子で慌てて首を振った。
「い、いいよ。俺は何も下心があって来たわけじゃねえんだ。ただ、お彩ちゃんの顔をひとめ見たく―い、いや、違う、お彩ちゃんのことが心配で」
「わざわざ、ありがとう。こんな時間でなかったら、上がってお茶でもどうぞって言いたいんだけど」
と、伊勢次は仰天した様子で慌てて首を振った。
「い、いいよ。俺は何も下心があって来たわけじゃねえんだ。ただ、お彩ちゃんの顔をひとめ見たく―い、いや、違う、お彩ちゃんのことが心配で」

