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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第11章 第三 【ほたる草】 其の参

「小巻さん、良いの? 素直になってよ。このまま偉兵衛さんを一人で帰すことになっても本当に良いの?」
―素直になって。自分の心に素直になって。
それこそがお彩が小巻に伝えたかった台詞であった。そして、それは今、自分が他ならぬ自分自身へ伝えたい言葉でもある。
陽太を好きだという想いに素直になれば良い、たとえ何があろうと、この先も陽太を想い続けていけば良い、と。
「お前さん―、私」
呟いた小巻の眼に大粒の涙が溢れた。
小巻はそのまま良人の胸に飛び込み、号泣した。
偉兵衛はそんな小巻に呆気に取られながらも、小巻の背中にそっと手を回した。小巻は良人の腕の中でずっと泣き続けた。これまでこらえていた分の涙を一挙に流し尽くしてしまうかのように。
―素直になって。自分の心に素直になって。
それこそがお彩が小巻に伝えたかった台詞であった。そして、それは今、自分が他ならぬ自分自身へ伝えたい言葉でもある。
陽太を好きだという想いに素直になれば良い、たとえ何があろうと、この先も陽太を想い続けていけば良い、と。
「お前さん―、私」
呟いた小巻の眼に大粒の涙が溢れた。
小巻はそのまま良人の胸に飛び込み、号泣した。
偉兵衛はそんな小巻に呆気に取られながらも、小巻の背中にそっと手を回した。小巻は良人の腕の中でずっと泣き続けた。これまでこらえていた分の涙を一挙に流し尽くしてしまうかのように。

