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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

もし言うことを聞かなければ、喜六郎におきみの過去―宿場町で飯盛女をしていたこと、春をひさいでいたことをすべてぶちまけると強迫した。
おきみは二階の喜六郎の居室に「花がすみ」の売上が仕舞ってあるのを知っていた。その部屋は夜毎、おきみが喜六郎と愛を交わす寝室でもあった。おきみは喜六郎が大切にしている手文庫を震える手で開け、中から金を取り出した。
そして、その翌朝、まだ夜が明ける前、おきみは喜六郎が眠っている隙に、姿を消した。むろん、手文庫の金をすべて懐中近くに隠し持って―。
おきみは二階の喜六郎の居室に「花がすみ」の売上が仕舞ってあるのを知っていた。その部屋は夜毎、おきみが喜六郎と愛を交わす寝室でもあった。おきみは喜六郎が大切にしている手文庫を震える手で開け、中から金を取り出した。
そして、その翌朝、まだ夜が明ける前、おきみは喜六郎が眠っている隙に、姿を消した。むろん、手文庫の金をすべて懐中近くに隠し持って―。

