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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

その上で喜六郎に言ったのだ。
―このまま二人を行かせちまって、本当にそれで良いのですか。
と。
最初、喜六郎は思いもかけぬ事実にかなりの衝撃を受けていたようであった。まさか、おきみが亭主に脅されて店の金を持ち出したなぞ、想像もしていなかったのだ。
また、承平が我が子ではなかったことにも喜六郎は少なからぬ打撃を受けていた。
おきみの話は信じぬと言いながらも、喜六郎は心では承平を己れの子だと思い込んでいたようである。
―わしの子にしては、どうも見栄えが良すぎると思ったんだ。
喜六郎は、承平の件については、そう言って淋しげに笑った。
―このまま二人を行かせちまって、本当にそれで良いのですか。
と。
最初、喜六郎は思いもかけぬ事実にかなりの衝撃を受けていたようであった。まさか、おきみが亭主に脅されて店の金を持ち出したなぞ、想像もしていなかったのだ。
また、承平が我が子ではなかったことにも喜六郎は少なからぬ打撃を受けていた。
おきみの話は信じぬと言いながらも、喜六郎は心では承平を己れの子だと思い込んでいたようである。
―わしの子にしては、どうも見栄えが良すぎると思ったんだ。
喜六郎は、承平の件については、そう言って淋しげに笑った。

