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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第14章 第六話 【春の雨】 其の壱

が、そんな胸の内を伊勢次に伝えるわけにはゆかない。お彩は陽太の美しい貌をよぎる翳を見れば見るほどに惹かれてゆく。その翳りの源を知り、何とかしていつも明るく笑っていられるようにできないものかと思う。伊勢次がお彩のそんな胸中を知れば、余計に反対するだけに相違ない。
―俺はあいつだけは嫌なんだ。何というのか、あいつには訳の判らねえ危うさがある。もしお彩ちゃんが惚れたのがあいつじゃねえ、他の奴なら、俺は何も反対なんかしやしねえさ。潔く身を引くぜ。
あのときの伊勢次の真剣な面持ちは、今もお彩の心から消えない。
だが、この一年の間、お彩の心は変わらなかった。陽太への思慕は衰えるどころか、ますます燃え盛る恋情となってお彩の奥底で消えることはない。
―俺はあいつだけは嫌なんだ。何というのか、あいつには訳の判らねえ危うさがある。もしお彩ちゃんが惚れたのがあいつじゃねえ、他の奴なら、俺は何も反対なんかしやしねえさ。潔く身を引くぜ。
あのときの伊勢次の真剣な面持ちは、今もお彩の心から消えない。
だが、この一年の間、お彩の心は変わらなかった。陽太への思慕は衰えるどころか、ますます燃え盛る恋情となってお彩の奥底で消えることはない。

