この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

何を思っているのか、陽太は静かな眼を空に向けている。そんな陽太を見、伊勢次が言った。先刻までの烈しさは嘘のように鳴りを潜めている。どうやら、いつもの彼らしさを取り戻したようで、お彩は心からホッとした。
「お前が本当にお彩ちゃんを幸せにすると約束するのなら、俺は潔く身を退くぜ」
長い長い静寂があった。その場に居た誰もが、陽太の次の言葉を待っていた。だが、結局、陽太は何も応えなかった。
永遠に続くかと思われる静けさを守り抜いた。伊勢次が陽太を見、それから、お彩を見た。お彩を見つめた伊勢次の眼は何故か哀しみに満ちていた。
―本当にお前はこの男で良いのか? これから先、たとえ何があろうと起ころうと、この男についてゆくというんだな?
伊勢次の眼は無言でそう問いかけていた。
「お前が本当にお彩ちゃんを幸せにすると約束するのなら、俺は潔く身を退くぜ」
長い長い静寂があった。その場に居た誰もが、陽太の次の言葉を待っていた。だが、結局、陽太は何も応えなかった。
永遠に続くかと思われる静けさを守り抜いた。伊勢次が陽太を見、それから、お彩を見た。お彩を見つめた伊勢次の眼は何故か哀しみに満ちていた。
―本当にお前はこの男で良いのか? これから先、たとえ何があろうと起ころうと、この男についてゆくというんだな?
伊勢次の眼は無言でそう問いかけていた。

