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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

伊八は言いにくそうに口ごもり、わざとらしく咳払いした。
「お前もそろそろ嫁入りの話があっても良い頃合じゃねえか」
伊八は赤い顔でひと息に言うと、お彩を見つめた。お彩はいきなりふられた話に言葉を失った。が、考えてみれば、お彩も十八、年が明ければ、十九になる。母お絹がお彩を生んだのは十七だから、いまだ嫁入りの話すら出ていないのは不自然と言えば言えた。
年頃の娘を持つ父親として伊八が心配するのは当然のことだ。
「お前には、誰か末を言い交わした男はいねえのか?」
続いての問いに、お彩はうつむいた。
「そんなひとがいれば、とっくにおとっつぁんに紹介してるに決まってるじゃない」
「お前もそろそろ嫁入りの話があっても良い頃合じゃねえか」
伊八は赤い顔でひと息に言うと、お彩を見つめた。お彩はいきなりふられた話に言葉を失った。が、考えてみれば、お彩も十八、年が明ければ、十九になる。母お絹がお彩を生んだのは十七だから、いまだ嫁入りの話すら出ていないのは不自然と言えば言えた。
年頃の娘を持つ父親として伊八が心配するのは当然のことだ。
「お前には、誰か末を言い交わした男はいねえのか?」
続いての問いに、お彩はうつむいた。
「そんなひとがいれば、とっくにおとっつぁんに紹介してるに決まってるじゃない」

