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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第2章 第一話-其の弐-

父ちゃんはお前が誰か良い男を見付けて嫁に行くのを何としてでも見届けなきゃならねえなだ。死んだおっかさんもどれほどお前のゆく末を気に掛けてるか判りゃしねえ」
「おっかさん、おっかさん、おっかさん! おとっつぁんってば、いつも、そればかりね。おっかさんの他にもこの世にはごまんと女がいるっていうのに、馬鹿みたい」
お彩が幾ら口汚い言葉を吐いても、伊八は怒るどころか、逆に気遣わしげに訊ねてよこすのだった。
「どうしたんだ? 顔色が悪いぞ。どこか具合でも悪いのか?」
昔からそうなのだ。父はお彩には滅法甘かった。どんな悪戯をしても、父がお彩を叱ることはまずなかった。そんな父を母は「お前さんはお彩には甘いねえ」と苦笑いしながら眺めていたものだったけれど。
「おとっつぁん、おとっつぁんはいつもおっかさんのことしか眼中にないけど、おとっつぁんに惚れてる女が他にもいるかもしれないってことを考えてみたことはないの?」
「おっかさん、おっかさん、おっかさん! おとっつぁんってば、いつも、そればかりね。おっかさんの他にもこの世にはごまんと女がいるっていうのに、馬鹿みたい」
お彩が幾ら口汚い言葉を吐いても、伊八は怒るどころか、逆に気遣わしげに訊ねてよこすのだった。
「どうしたんだ? 顔色が悪いぞ。どこか具合でも悪いのか?」
昔からそうなのだ。父はお彩には滅法甘かった。どんな悪戯をしても、父がお彩を叱ることはまずなかった。そんな父を母は「お前さんはお彩には甘いねえ」と苦笑いしながら眺めていたものだったけれど。
「おとっつぁん、おとっつぁんはいつもおっかさんのことしか眼中にないけど、おとっつぁんに惚れてる女が他にもいるかもしれないってことを考えてみたことはないの?」

