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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第17章 第七話 【雪花】 其の弐

それに言い訳になるようだが、父伊八の言葉ではないが、自分が一生独りでは父の心配の種は尽きないだろうとも思う。男気のある父のことだから、血の繋がらぬ娘だからこそ尚更、お彩には幸せになって欲しいと考えているに違いない。母がいない分、自分が責任を持ってお彩の幸せを見届けなければと思い込んでいるだろう。そんな父の心中を思えば、いつまでも嫁かず後家でいるのは申し訳ない。
平凡でささやかな幸せを得て、孫の顔を見せれば、父も安心するだろうし、もしかしたら遅まきながら自分自身の幸せを考える気にもなるかもしれない。父はまだ四十一で、おまけに男ぶりも良い。その気になれば、再婚もできるだろう。
―俺はお絹以外の女は要らねえ。
普段から豪語している父だが、母はもう死んだのだ。
平凡でささやかな幸せを得て、孫の顔を見せれば、父も安心するだろうし、もしかしたら遅まきながら自分自身の幸せを考える気にもなるかもしれない。父はまだ四十一で、おまけに男ぶりも良い。その気になれば、再婚もできるだろう。
―俺はお絹以外の女は要らねえ。
普段から豪語している父だが、母はもう死んだのだ。

