この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第2章 第一話-其の弐-

その刹那、お彩は父に腕を掴まれた。
「待ちなさい、話はまだ済んじゃいねえ」
が、お彩は父の手を振りほどき、悲鳴を上げるような声で言った。
「放っておいてよ。私は、おとっつぁんの娘なんかじゃない」
お彩は逃げるように走り去った。咄嗟に放ったそのひと言がどれだけ父を打ちのめしたか、お彩はまだ知らなかった。
伊八は、その場に茫然と立ち尽くしていたが、しばらくして、がっくりと肩を落として呟いた。
「お絹、やっぱり、本物の父子(おやこ)じゃなきゃ駄目なのかな。俺が幾らお彩の父親のつもりでいても、あいつはどんどん俺から離れていく。こんな時、お前が生きてれば、お彩の気持ちだって、ちゃんと受け止めてやれるのかもしれねえな。なあ、お絹、教えてくれ。俺はどうしたら良いんだ? 俺にはお彩の考えてることが少しも判らねえんだ」
「待ちなさい、話はまだ済んじゃいねえ」
が、お彩は父の手を振りほどき、悲鳴を上げるような声で言った。
「放っておいてよ。私は、おとっつぁんの娘なんかじゃない」
お彩は逃げるように走り去った。咄嗟に放ったそのひと言がどれだけ父を打ちのめしたか、お彩はまだ知らなかった。
伊八は、その場に茫然と立ち尽くしていたが、しばらくして、がっくりと肩を落として呟いた。
「お絹、やっぱり、本物の父子(おやこ)じゃなきゃ駄目なのかな。俺が幾らお彩の父親のつもりでいても、あいつはどんどん俺から離れていく。こんな時、お前が生きてれば、お彩の気持ちだって、ちゃんと受け止めてやれるのかもしれねえな。なあ、お絹、教えてくれ。俺はどうしたら良いんだ? 俺にはお彩の考えてることが少しも判らねえんだ」

