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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

【其の参】
それからの数日間、お彩はまるで現ならぬ世界にいるような心もちで過ごした。陽太に自分の方から別離を切りだしておきながら、まるで身体と心を真っ二つに引き裂かれたように苦しかった。多分、陽太に別れを告げたあの瞬間から、お彩の心は死んでしまったのだろう。
何をしていても茫然自失といった有り様で、空の丼を運んでいる途中で落として割るは、お客の注文を間違えるはで、喜六郎は尋常ならぬお彩の様子を見て、ただ事ではないと察した。伊勢次とお彩の恋を心から応援していた喜六郎だが、ここのところ伊勢次がふっつりと店に来なくなったことから、この二人が終わったらしいとは見当をつけていた。
それからの数日間、お彩はまるで現ならぬ世界にいるような心もちで過ごした。陽太に自分の方から別離を切りだしておきながら、まるで身体と心を真っ二つに引き裂かれたように苦しかった。多分、陽太に別れを告げたあの瞬間から、お彩の心は死んでしまったのだろう。
何をしていても茫然自失といった有り様で、空の丼を運んでいる途中で落として割るは、お客の注文を間違えるはで、喜六郎は尋常ならぬお彩の様子を見て、ただ事ではないと察した。伊勢次とお彩の恋を心から応援していた喜六郎だが、ここのところ伊勢次がふっつりと店に来なくなったことから、この二人が終わったらしいとは見当をつけていた。

