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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第19章 第八話 【椿の宿】

そのお彩が去年の暮れ辺りからちょくちょく休みを取るようになったことを訝しんでいた。十九の若い娘が昼飯の忙しい時間を過ぎた頃から夕方の再びのかき入れどきまでの一刻余り、度々店を抜けるようになった。その用向きはその都度異なり、あるときは今日のように墓参りであったり、あるときは父親の様子を見にゆくといったものだったりした。
しかも、そういった外出から戻ってきた直後のお彩は明らかに尋常ではなかった。いかにも心ここにあらずといった有り様で、時々、涙ぐんだりしている(もちろん、当人は泣いているのを知られているとは思っていない)。
よしんば、お彩が男と逢っているのだとして、若い娘のことゆえ、惚れた男がいたとしても、いささかも不思議はない。
しかも、そういった外出から戻ってきた直後のお彩は明らかに尋常ではなかった。いかにも心ここにあらずといった有り様で、時々、涙ぐんだりしている(もちろん、当人は泣いているのを知られているとは思っていない)。
よしんば、お彩が男と逢っているのだとして、若い娘のことゆえ、惚れた男がいたとしても、いささかも不思議はない。

