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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第20章 第八話 【椿の宿】 其の弐

「―ありがとう、伊勢次さん。私、もう、伊勢次さんとは二度と以前(まえ)のようにお話できないんだって諦めてたから、嬉しくて」
「何だい、泣くなよ。そんなに泣かれちまったら、俺ァ、もう、どうしたら良いか判らねえじゃないか」
伊勢次はお彩が泣き出したことで、かなり狼狽えているようだ。この上、伊勢次に迷惑をかけて申し訳なさで一杯になったけれど、一度溢れ出した涙は、どうにも止まる様子はないようだ。すすり泣くお彩を見つめる伊勢次の眼は、限りなく優しく穏やかな光を宿している。
「だがな、これだけは憶えておいてくんな。お彩ちゃん、もし何か困ったことや悩み事ができたときは、遠慮なんかしねえで、俺に言ってくれよな。たいした力にはなれねえだろうが、できるだけのことはするからさ」
「何だい、泣くなよ。そんなに泣かれちまったら、俺ァ、もう、どうしたら良いか判らねえじゃないか」
伊勢次はお彩が泣き出したことで、かなり狼狽えているようだ。この上、伊勢次に迷惑をかけて申し訳なさで一杯になったけれど、一度溢れ出した涙は、どうにも止まる様子はないようだ。すすり泣くお彩を見つめる伊勢次の眼は、限りなく優しく穏やかな光を宿している。
「だがな、これだけは憶えておいてくんな。お彩ちゃん、もし何か困ったことや悩み事ができたときは、遠慮なんかしねえで、俺に言ってくれよな。たいした力にはなれねえだろうが、できるだけのことはするからさ」

