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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第4章 第二話【花影】-其の壱-

多感な年頃の少女が身近にいる大人―年上の男性に対してほのかな憧れめいた気持ちを抱き、それを恋や愛だと錯覚すること自体は別段珍しくはない。
しかし、その対象として従兄や叔父といった比較的近しい身内の男を選ぶならまだしも、自分の父親に惚れるなどということはまずない。伊八への想いはいわば、お彩の一人合点であり、はなはだ身勝手な思い込みということになるが、そんな勘違いに伊八は振り回されたのである。
もとより、自分の胸の内で起こった葛藤の数々を父にすべて話すつもりはない。真実を知ったとしても、父ならば、お彩を蔑んだり、娘ではないと勘当したりはしないだろうが、やはり予想外の衝撃は受けるだろう。
しかし、その対象として従兄や叔父といった比較的近しい身内の男を選ぶならまだしも、自分の父親に惚れるなどということはまずない。伊八への想いはいわば、お彩の一人合点であり、はなはだ身勝手な思い込みということになるが、そんな勘違いに伊八は振り回されたのである。
もとより、自分の胸の内で起こった葛藤の数々を父にすべて話すつもりはない。真実を知ったとしても、父ならば、お彩を蔑んだり、娘ではないと勘当したりはしないだろうが、やはり予想外の衝撃は受けるだろう。

