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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第3章 出逢い
「ごちそうさま。」

そう言って立ち上がった彼。

立ち上がると、背も高くてより一層スレンダーに見える。

ドアに向かう彼がチラッと、私の方を見た。

帽子からフワフワした黒髪が揺れている。

少し目尻が下がったキリッとした瞳。

薄くキレイな口元が少しだけ、キュッと上がる。

柔らかい笑顔で、希にカイと呼ばれていた彼は、私に軽く会釈した。

「お疲れ様です…。」

そう言って、私も彼に会釈する。

そんな私を見て、彼はまた優しく微笑んだ。


「ありがとう。また来てね。」

希がドアを開けて彼を見送る。

その間も私の胸は、ドキドキとずっと鳴りっぱなしだった。



“カイさんか…また会えたらいいな。”


呼び名しか知らない彼。

初めて会ったこの日から、私の中ではすでに、恋が始まっていたのかもしれない。

そう自分では、気付かない内に……。
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