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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第3章 出逢い
1人で飲みに来ているようで、希と話しながらお酒を飲んでいる。

彼がグラスを軽く揺らすと、中の氷とウイスキーがキラキラと光った。

それを飲む姿もまた、何だか絵になる。


しばらくボーッと彼の事を見てしまったけど、彼の視線がこちらへ向く事はなかった。


そんな彼の視線は、いつしかカラオケの画面へ向けられた。

歌う彼の声もまた独特で素敵だ。


歌っている歌から考えると、私とそんなに年齢も変わらないんだろうなと、勝手に推測する。

だいたい同じ世代に流行った曲。

酔った私には、何だかすごく懐かしい。

“私はこの曲が流行った時、何してたっけ?”

そんな事を、ふと考えてみた。

彼も同じように、同じ時代を生きてきたんだと思ったら、すごく嬉しかった。


何曲かひたすら歌い続けた彼は、希に

「希ちゃん、チェックして。」

と、声を掛けた。

「カイ、もう帰るの?もう少し歌えば?」

「うーん、今日夜勤明けだから、もう眠い…。」

眠そうに目をこすりながら、彼が答えた。
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