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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第19章 神奈川ラストデート☆江ノ島
お風呂から出るといつものように、海音が髪を乾かしてくれる。
「初めて海音に髪乾かして貰った時、こうやって鏡越しで見る海音にドキドキしてたんだよ。」
鏡越しの海音がニコッと微笑む。
「希の店で一目惚れした人と、急に近付けて、本当に嬉しかったんだ。」
「ありがと。」
「あの日、海音が言ってくれた言葉の1つ1つ、私は絶対に忘れない。これから先もずっと…。」
「海音は、忘れちゃったけどね。」
イタズラに笑って付け足すと
「渚の意地悪っ。」
海音がバツが悪そうに苦笑いした。
海音が私を抱き締めて、背中越しに語りかける。
「これからの思い出も、大事にしていこう。もっと素敵な思い出を渚にたくさんあげるから。」
「そんな事言われたら、忘れた事は許さなきゃならないじゃん。」
フフッと笑って振り返り、海音の首に腕を回し口づけた。
キスをしながら、心の中で呟く。
『海音があの日の事を忘れちゃった事件も、私にとっては素敵な思い出の1つなんだよ…。』