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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第13章 誕プレデート☆横浜
海音と思いが通じ合って数週間。
仕事が忙しい海音とは、なかなか時間が合わず、会えない日が続いていた。
私は今日もSUNで、希に愚痴を聞いてもらっている。
「で、両思いにはなったけど、付き合っているかどうかは、微妙と…。」
「うん。付き合ってる事になるの?これは?」
「さぁー?どうなんだろう。ま、大人同士なんだし、そんなもんなんじゃないの?」
「でも、たまにはデートとかしたいよー。」
私が大きくため息をつくと
「カイに直接そう言えばいいじゃん。」
「面倒な女は嫌いって言ってたから、そう思われたくない。」
「たまには、言いたい事言ってみたら?カイは自分から誘わなそうじゃん。」
「確かに…。」
酔ってない時の海音は、相変わらず口数も少なく、人間関係も全てがドライ。
こっちから誘わない限り、確かに予定をたててくれるようには見えない。
そんな事を考えていると
“仕事終わった!SUNにいる?”
海音からのメールだった。
“うん、いるよ”
“今から行く!”
しばらくすると、仕事帰りの海音が、SUNに来た。
私の隣りに座ると
「ビールちょーだい。」
希に声を掛けた。
「お疲れ様!今日も仕事遅かったんだね。」
「あぁ、残業してたら、こんな時間だよ。」
夜勤もあって、日勤でも遅くまで働いている海音。
それを分かっているだけに、休みの日くらいは、ゆっくりして欲しいと思ってしまい、なかなかデートに誘えない自分がいる。
「渚は仕事、落ち着いてるの?」
「うん、変わらずだよ。」
「そっか。それならいい。」
海音は、フワフワな黒髪をクシャッとかきあげると、煙草に火をつけた。
フーッと大きな息を吐く。
隣りで見る海音の横顔は、相変わらず綺麗。
煙草を吸う男性が、素敵に感じるのは、海音が初めてだった。