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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
嘘はついていない。自分がここに居合わせたのは、本当にただの偶然だ。
好奇心から覗いてしまったのは確かに悪かったかもしれないけれど、それだって、もとを辿ればあんなところでいかがわしいことをしていたのが悪いのだ。
頭ではそう理解していても、なぜだか酷く後ろめたい気分だった。
宵はわずかに瞳を細めた。
罵倒でも飛んでくるのかと思いさらに体を強ばらせた愛美に宵が言ったのは、たった一言だけだった。
「隣の教室で見たこと、黙ってて」
「え……?」
「ドアの陰に隠れてたってことは、何か見たんだろ? あっちで」
問いかけられて、愛美は小さくうなずいた。
問いかけてくる声音には、険や嫌みは混じっていない。
怯えている愛美を気遣ってか、普段よりも柔らかい口調にさえ感じた。
宵は一瞬困ったような表情を浮かべた。
「誰かに……つーか教師にバレるとさすがにまずい。言うなよ、誰にも」
囁くような優しい声色で、彼は言った。
それから愛美の足もとに散乱した教科書やルーズリーフを揃え、もう一度手渡してくれる。