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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
癖っ毛で長めの前髪や、一重の目。肌だって、少し荒れていてニキビが目立つ。
こんな顔を晒すのが、たまらなく恥ずかしいことのように思えた。
(でももう最後だから)
大丈夫、と愛美は心の中で何度も自分に言い聞かせた。
関わることがなくなるのなら、どんなふうに思われたって構わない。
宵の手は愛美の頬を包んだまま。彼の体温を、直接感じる。
ゆっくりと唇が近づいてきて、愛美はようやくキスされるのだとわかった。
(大丈夫大丈夫……っ)
おまじないのように唱えながら、愛美はぎゅっと目をつぶり、スカートを力いっぱい握りしめた。
息を止めてじっとそれが触れるのを待つ。
だが、そうして待っていても彼の唇が愛美のそこに触れる気配はなかった。
それどころか頬から手が離れ、宵の体温が遠ざかり、愛美は瞳を開けた。
「……てかびびりすぎ。いーよ、無理じゃなくて」
愛美の側から一歩引いて、宵は言った。
「え……わたしびびってなんか……」
「その手」
短く指摘されて、自分の手の平を見る。
それはずっと強く握っていたためか、血の気が引いて白くなっていた。