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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
おまけに緊張のせいか、いくらか汗ばんでいる。
「さっきからずっと震えてたよ」
言われて、かあっと頬が熱くなる。
宵は理科準備室の隅の壁際に下ろしておいた鞄を持ち、愛美に言った。
「もう帰れよ。そろそろ日も沈むし、暗くなったら危ねーし」
「平気、家近いし……」
本当は歩いて二十分ほどかかるけれど、そんなのは気にならなかった。
食い下がろうとす愛美に、宵は困ったような表情を向ける。
「……ここ、六時頃に日直の先生が見回りに来るんだよ。そろそろやべー時間帯」
六時?
もうそんな時間になるのかと思う。
時間のことなどすっぽり頭から抜け落ちていた。
言われてみれば、カーテンのわずかな隙間から差していた陽の光もいつの間にかほとんど見えなくなっていた。
宵は愛美の側まで歩み寄り、愛美の顔を下から覗き込む。
机に座っているためか、愛美のほうがわずかに背が高くなっていた。
「別に今日じゃなくたっていいだろ? 明日でも来週でも、いつでもいいよ。放課後なら」
そこで宵は口元にいたずらっぽい笑みを浮かべた。