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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI

「――わたし、言いたいこと言えなくなんかなかったよ。ちゃんとけじめはつけられたもん」

 二年前の思い出にどっぷりと浸かってしまっていた愛美は、長い時間を置いてようやくそう返した。
 携帯越しの明に向かって。
 思えば明に宵への気持ちを打ち明けたのは、こちらに引っ越してきてしばらく経ってからのこと。それも当たり障りのない程度にしか話していなかった。
 宵と女生徒があの部屋でしていたことは他言しないと約束していたし、明に下手に話してそこに触れてしまうのが怖かった。
 だから、愛美が明に打ち明けたことは、中学から彼に対して特別な感情を抱いていたことと、あの日の夜、たまたま学校に忘れ物を取りに戻ったら彼と会って、少し話をしたということだけ。
 全部が本当の話ではないし、多少のごまかしもあった。
 けれども、彼に対しての率直な想いだけは、明に、きちんと言葉にして伝えることができたはずだった。

「けじめ?」

 明は怪訝そうな声で、そう尋ね返してくる。
 愛美はくすくすと小さな笑い声を洩らした。

「うん」

 そうしてはっきりと頷いてみせる。
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