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秘密の恋人
第1章 彼トノ関係
場所は、ホテル。

ほぼ、2週間に1度。

今、私の隣で眠るのは…

私の勤める会社の部長。

萩原 義隆さん。

20歳も歳上の、私の恋人。


彼との関係は、世間一般的には、セフレというものなのだろう。

私は彼の事が好きだけど、彼から好きだとか、愛しているなんて言葉は貰った事がない。

ただ、こうして定期的に会って、身体を重ねるだけ。

会社では口もきかない。

食事もデートもしない。そもそもホテル以外で会うこともない。

彼が私を、本当のところどう思っているのかもわからない。

なぜなら彼には…家庭がある。


でも…不倫ではない。
そこだけは言い訳しておく。
好きになったら関係ない、という人もいるけど、私はそんな泥沼はゴメンだ。

彼に奥さんはいない。随分前に別れたそうだ。
それを知ったのは関係を持った後だから、一歩間違えば泥沼になった可能性もあるけれど…でも、いくら私だって、弾みで関係を持ったからといって、一生責任取れなんて言うつもりもないし、奥さんがいるなら引くくらいの良識はある。

居るのは、私より幾つか歳下なだけの、大きな息子さん。
私と彼より、私と彼の息子さんの方が歳が近い。

法的に悪いことをしているわけじゃない。
だけど、お互いの家族や、会社の人たちの手前、なんとなく大っぴらにするのは憚られる。
そんな微妙な関係。

好きだという言葉を、言って欲しくないといえば嘘になる。

でも、言わない。と彼には言われている。

「男がささやく愛の言葉なんて、殆ど嘘か下心だよ。」

彼はそう言って笑った。

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