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きょうどうせいかつ。
第6章 ひめはゆっくり かくせいする。
「……はあ。せっかく人が気持ちよく寝ていたというのに──」
勇者は、自分のものでも、魔王のものでもない『声』に反応して、その声の方向へ、目を動かした。
「どうしてダミアンを殺そうとしているのかしら、勇者様……?」
恐怖。まさに、勇者が抱いた感情は、恐怖そのものだろう。
すやすや寝ていたはずの姫が、起きている。
それはまだ理解できた。
しかしそこには──
勇者の知らない姫が立っていたのだ。
「姫……」
「あ、そうそう。そのナイフ……。危ないから降ろしてくれないかしら」
ほとり、と、勇者があんなに力を込めて握っていたナイフが、姫の言葉に従うように、床へ落ちていった。
「私が純粋、ね……。それは褒め言葉なのかしら」
姫は、目を真っ赤に染めて、魔王の横までゆっくりと歩いていった。
勇者は金縛りにあったように、ぴくりとも動けないでいた。
魔王は動けないでいる勇者をよそに、姫の隣まで歩いていく。
「本当は、真っ黒なのにね──ダミアン」