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きょうどうせいかつ。
第17章 すこしはじぶんで かんがえたら?
ひっそりと、それこそ寝ずに、夜逃げのような態をとって、そそくさに去った。
ベンジャミンが何か考えていることが気になったが、まあ、くだらないことだろう。
驚いたのは、魔界の気候はころころ変わるらしく、急に雨が降ってきたことだった。
急いで森まで避難したのだが、荷物は濡れてしまった──否、ブレットの荷物だけ濡れてしまった。
まるで何かのいじめのように、他の三人の荷物が濡れないように、魔力でカバーしてくれたようなのだが、ブレットの物は器用に避けたらしい。
誰が──と聞かれたら、それはもう、イザベラさんが。
人をいじめるのが大好きなイザベラさんがわざわざ、濡れるように仕向けた。
何があったのか分からないが。ブレットに対して非常に腹を立てているらしい。
それは、ブレットがいきなり部屋に入って生きて、予想していない事態が起こったこととか、ブレットがよけいなことを言うから、自分の夢が笑われたことに腹を立てているのだが、勿論ブレットは知らない。
「あら。濡れちゃったわね」
「濡れちゃったわねじゃねえよ!わざとだろ!お前、わざと俺の荷物を守らなかっただろう!」
「やあね、人のせいにするなんて」
「じゃあ、お前らの荷物はなんで濡れてないんだよ!普通濡れるだろ!この雨だぞ!豪雨だぞ!」
「たまたまよ」
「たまたま!?」
「ええ。ほらブレットの荷物って、一番端っこに積んであったじゃない。この荷台にはきっと屋根がついていて、その屋根の範囲が届かなかったのよ」
「待て!屋根なんてついていないぞ!」
「邪魔だったから私が消したわ」
「お前な、言い訳するなら、もうちょっとましな──」
「さて、お腹空いたわね」
「聞けよ!話を!最後まで!」
「最期?」
「違う!」