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きょうどうせいかつ。
第6章 ひめはゆっくり かくせいする。
「いっ……」
勇者は頬に何かの痛みを感じた。
姫の胸から手を放し、頬をさすってみる。
血が出ていた。
「ダミアン……。どうして!? 」
姫は背後にいた魔王に目をやった。
魔王は何も言わず、じっと勇者を見ていた。
「どうして邪魔を──」
「□□□□□□□□。□□□□□□」
姫は魔王の言葉を聞いて、少しムスッとした。
勇者は何が起こっていたのか分からず、当惑していた。
「はあ……。お人好しなんだから、もう」
突然、姫は床に手を付けて、綺麗なフォルムで土下座をした。
「先ほどまでのご無礼、お許し下さいませ。私、必死だったもので、思わずあなたを洗脳しようとしてしまいました。ダミアンも怒らせてしまい……。すみません」
「は? え?」
「さぞかし混乱されているでしょう。無理もありません。順に説明させていただきますから、私をお許しください」
勇者は、何が何だか分からない様子で、ああ、と返事した。
顔を上げた姫は、ものすごく屈辱的な顔をしており、さっきの台詞は言わされたものなのだと、理解した。
このドタバタの中分かったのは、姫は魔王に対して、ものすごく忠実だということと、魔王に助けられたこと、そして、自分はとてつもなくめんどくさいことに巻き込まれた、という事だった。