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さくらホテル2012号室
第15章 なかだし

先生…
桜が咲き。
雨が降り。
青紅葉に蟬しぐれ。
秋の枯葉と木枯らしの潮騒。
めぐる季節。
重ねた日々。
身体の交わり。
心の触れ合い。
触れて、離れて。
やっと、ひとつになれた。
先生をすべて、受け入れることができた。
気づいた時、わたしの頬に涙が流れていた。
それはわたしのものだったのだろうか。それとも顔を重ねた先生のものだったのだろうか。
先生が亡くなった後、何度も思い出すのは、あの頬を伝う温かな涙のしずくのぬくもりだった。

