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さくらホテル2012号室
第16章 みっちやん?

「お会いできない」と言われた月はおとなしく先生の連絡を待った。そして翌月になっても音沙汰がなかった。こちらから催促のような連絡をするのはは憚(はばか)られ、ただ待つだけのひと月。
季節が入れ替わり、その次の月に、先生の事務所から訃報が届いた。
それは既に葬儀も行われた状態での、儀礼的な連絡の葉書として図書館にもたらされた。故人の意思として、近親者と劇団員だけで見送りが行われ、マスコミへの発表も特に行われなかった、とのことだった。
死因は進行性の胃がん。発見から逝去までわずかふた月、とあった。

