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さくらホテル2012号室
第16章 みっちやん?

先生と会っている時間があまりに非現実的すぎたのかもしれない。
日常生活を送るなかで、あまりに突然もたらされたその事実に、わたしはただ、立ち尽くすほかにできることがなかった。身をすくめて、近く訪れるであろうショックに身構えることしか思いつかなかった。
そのようにして、数日が過ぎた。
季節は秋が早足で過ぎ去り、冬が訪れようとしていた。
表層的には何事もなかったかのような日々が続く。図書館と自宅での多忙な日々。そのようなルーチンの生活の中で、わたしは少しずつ、感情の起伏を失って行った。
毎日の生活を卒なくこなすことはできる。
職場と家庭に完璧に隠し通した先生との日々。それはわたしの生活のバックボーンとなって、ある種の安定をわたしにもたらしていた。
先生との時間があるから、わたしは毎日を静かに送ることができていたのだ。

