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さくらホテル2012号室
第16章 みっちやん?

しかし先生を失って、そのバランスが崩れた。
表層的には何ひとつ変わらぬ振りを続けながら、わたしはわたし自身を失っていった。
あんなに好きだった自慰行為には、全く興味が持てなくなった。
テレビのコメディ番組を見ても少しも面白とも思えず、子どもと話していても昔感じていたような温かさを得ることができなくなっていった。
先生は、わたしの心を、一緒に連れて行ってしまったのだろうか。
わたしは密かに焦りを感じた。
しかし、それにどう対峙していいのか、わからない。
先生と知りあってから頻度の増えた美容院通いもすっかり遠のいた。通販で定期購入していた基礎化粧品も全てキャンセルした。

