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さくらホテル2012号室
第18章 思いもよらず


深い水の底からゆっくりと浮上した。
そんな感じでわたしは目を覚ました。
ここはどこだろう。
見知らぬ天井。
白い部屋。
あたたかなベッド。
誰かの気配。


あ、


と、思う。


先生だ。


うんと乱れて、眠ってしまったんだ。
半身を転がせて、先生の身体に触れようとして…


そこに誰もいないことに気づく。
そして唐突に、わたしは覚醒する。


そうか、寝てしまったのか、と思う。
さくらホテルのいつもの部屋にひとりでこもり、肌寒いベッドでひとしきり泣いて、そのまま眠りに落ちてしまったのだった。


仕方のないひと。


自分について、そう思う。
ため息をつきながら身体を起こし、ベッドから出る。部屋は寒い。
ベッドサイドのエアコンのスイッチを入れてから、シャワールームに向かう。


下着を脱いで、熱いシャワーを浴びる。
シャワーから出ると、丁寧に髪に櫛を入れ、時間をかけてメイクをし直す。


窓の外には初冬の早い日暮れが近づいている気配。


化粧を済ますと、脱いだ洋服を再び身につけた。
鏡の前で自分をチェックする。
大丈夫。来た時の姿に戻っている。


そのまま部屋を出て、さくらホテルの四階にあがった。

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