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さくらホテル2012号室
第1章 プロローグ
さくらホテル。
東京から特急電車で一時間と少し。
この海辺の町の南端の岬に立つホテルは、ほんとうは片仮名の洒落た名前がつけられている。
けれど先生はいつも、ここのことを「さくらホテル」と呼んでいた。
山が急斜面で海へとなだれ込む先端に立つこのホテルは、多くの部屋から見える海がセールスポイントだ。
でも先生とわたしがここに来るときはいつも、海を背にした山向きの部屋を指定する。
2012号室。
そこがわたしたちのいつものお部屋だ。