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さくらホテル2012号室
第2章 淡く溶けるもの
「味あわせてもらいますよ」
先生の、ハスキーな低い声がする。
「―――道子の、匂いですね」
そう言って、あぁ、先生はわたしのそこの匂いをかぐ。クンクンと、わざと鼻音を立てて。
「はぅっ」
恥ずかしさのあまり、声が漏れてしまう。
そして、ジュンっと、また、はしたない蜜があふれてしまう。
ダメ。先生。そんな汚いところの匂いをかいだら。ダメですっ!
心がしびれるほどに強い羞恥心が胃の縁からせり上がってくる。喉がカラカラに乾き、頭のなかがはち切れそうになる。目の前がスパークするように光って、まぶしさに目がくらむ。
先生はまだ、鼻を埋めている。
身をよじっても、先生の責めから逃れることはできない。
なのにどうして、こんなにあふれてしまうのだろう。