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さくらホテル2012号室
第13章 シャワー室でのつかのま

先生の頭に置いた手を、肩に移す。
一度痴態を見せてしまえば、少しだけ大胆になれる。
「今度はわたしが…」
そう言って、わたしは床にしゃがむ。
ゆるく流していたシャワーのコックをひねって、お湯を止める。
「…道子」
先生はしゃがんだわたしに促されるかのように、ゆっくりと立ち上がる。
目の前に、先生の腰が近づいてくる。
先生の腰の向こう、バスタブの先の壁はガラス窓になっている。
二重ガラスの間にブラインドがあり、ボタンひとつでそれを開閉できる仕組みだ。シャワー室に入る前に、わたしはブラインドを半開にしておいた。
ミントグリーンのブラインドの向こうに、初夏の山肌が見えている。鮮やかに萌える青紅葉(もみじ)。
その手前に、小豆色にそそり立つ、先生の幹。

