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さくらホテル2012号室
第14章 桜貝の散歩

さくらホテルの裏庭から、急斜面の崖を伝って下の砂浜に降りる階段が敷設されている。
行為の合間にわたしたちは、その階段をおりて散歩にでかけることがある。
ゆるい傾斜の階段をとくとくと下ると、ベージュ色のキメ細やかな砂浜に至る。
その砂浜は、左右200メートルほどに渡って開けていて、両端を磯場に覆われている。
外部から険しい磯を乗り越えるのは容易なことではなく、結果としてその砂浜は、さくらホテルのプライベートビーチのようになっている。
初夏の季節。
緑色の風が青々とした山肌から吹き降りてくる、さわやかな時期。
わたしたちは靴を脱いで、素足を波にからませながら、波打ち際をそぞろ歩く。

