この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
おんな小早川秀秋
第3章 秀俊修行
 
 しかし、男の手は突然止まる。そして、同時に響く男の悲鳴。あきが閉じた目を開いた瞬間、頬に生暖かい何かが飛び散った。

「――っ!!」

 あきを押さえつけていた男が、ずるずると崩れ落ちて床に倒れる。僅かな月明かりに照らされて見えるのは、鮮血の赤。それは倒れた男の背中から、床に広がっていた。

 そして今あきの前に立っていたのは、返り血を浴びた美しい男だった。

「……お父様」

 感情の色なく男を見下す隆景の手には、血が滴る刀が握られている。あきが頬を拭えば、そこにも同じ赤が付いていた。

「大丈夫ですか、あきさん」

 隆景が刀を振れば、滴る血は廊下に飛び散る。懐紙で刀身を拭き鞘へ納めると、あきへ手を伸ばした。

 繊細で、温かいと感じていた手。それは、あきの目の前で人を斬り殺した手である。今、心臓が張り裂けそうなのは、温もりのせいではない。全身の血が引いて、口どころか指先一本も動かせなかった。

「ひとまず、安全なところへ行きましょう」

 茫然と立ち尽くすあきの腕を、隆景は自ら掴む。罪深い手は、いつもと変わらず温かかった。
 
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ