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WHITE TIGER
第2章 Bump


しかし、俺の目は

頭は、心は、気持ちは

そんなやり取りに付いて行けなかった。


何故なら、愛とかいうこのお姉さんが舞と瓜二つだから。

骨格とか、目元とか、口元、どこを取っても舞その物だ。

舞と同じDNAを持った双子の姉妹と言われても可笑しくないほどに。

それに、名前もよく似た"愛"だし。



俺は酒を飲むフリをしながら愛さんの横顔をじっと眺めていた。





先輩はいい感じに酔っ払って自分の隣にいるお姉さんといい雰囲気。

俺はというと、いきなり表れた舞そっくりのお姉さんと2人、何を喋っていいのかわからない状態。

つーか、びっくりし過ぎて酔いが冷めた。

まだ心臓がバクバク言ってるわ。



「永野さんって、あんまりこういう店には来ないんですか?」

と、ぎくしゃくしてるこの雰囲気に溜まり兼ねてか愛さんがいきなり俺に話しかけた。

まぁ、ぎくしゃくしてるのは俺だけだけど。

「えぇ、まぁ…」

って、俺も俺でこんな無愛想な返事しか出来ねぇなんて情ねぇ。

「へぇ。普段お休みは何を?」

「…まぁ、DVD見たり、ゲームしたり」

って、完全な引きこもりじゃねぇか、俺は。


けど、緊張するのも無理はない。

だって、こんな場面でいきなり舞に似た女性が隣に座ったら…。

この人は舞本人じゃないとわかってても緊張してしまう。

つーか、他人のフリをしてるけど、本当は舞なんじゃねぇの?

それとも俺は夢を見てるのか?

酔いが回ってるのか?


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