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あいの向こう側
第12章 みなとみち
潮の香りが漂ってきた。
佐和子【さわこ】は短めに切った不馴れなショートカットを指で触りながら佇む。
釣竿を肩に担いだ子供たちが、
目の前を騒ぎながら通り過ぎた。
百メートルほど先に群青色の海が見える。
――晴れた夏の朝。
カモメがひらひらと気持ち良さそうに空に浮いている。
『さーわ〜〜〜〜〜!
さわこー』
声に振り返ると、
美和子【みわこ】らしき女性が手を大きく振っている。
『久しぶりやねぇー』
この土地特有の、
語尾を伸ばす話し方。
佐和子はそれを同級生の口から聞いて、
わたしは戻ってきたのだなと思う。
佐和子【さわこ】は短めに切った不馴れなショートカットを指で触りながら佇む。
釣竿を肩に担いだ子供たちが、
目の前を騒ぎながら通り過ぎた。
百メートルほど先に群青色の海が見える。
――晴れた夏の朝。
カモメがひらひらと気持ち良さそうに空に浮いている。
『さーわ〜〜〜〜〜!
さわこー』
声に振り返ると、
美和子【みわこ】らしき女性が手を大きく振っている。
『久しぶりやねぇー』
この土地特有の、
語尾を伸ばす話し方。
佐和子はそれを同級生の口から聞いて、
わたしは戻ってきたのだなと思う。