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あいの向こう側
第12章 みなとみち
まるでどすどすという擬音が響くかのように、

隣まで来た美和子は巨大化している。


『みわ、お母さんだもんねぇ』
思わずクスッと噴いてしまう。


肩までのふわふわした栗色の髪に、
チュニックとレギンス。

『あっはっは、
2人産んだらこんなんなっちゃったー』

美和子はお腹をパンと叩いて豪快に笑う。

『さわは変わらんね?
細いし、髪短いのがよぉ(よく)似合うわぁ。
やっぱり都会におるとシュッとするんやねぇ』



美和子は屈託がない。

昔と変わっていなかった。(体型以外は、だが)


『子供さんは?
今まだ朝7時よ?』


『ばあちゃんが食べさせてくれとるけぇ、
ちょっと抜けてもいいんよ〜。それに来年上のが小学校だし、自分でせんとね』


『そっか、お姑さんと一緒に住んでるんだよね』


『うん。
…………さわ、戻って来たって聞いてびっくりしたよ。
仕事も辞めてしもうたの?』



佐和子はえへへ、と曖昧に返事をした。
『色々あってね。
自然が多い場所でリフレッシュしようと思って』
やんわりと誤魔化した。
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