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あいの向こう側
第3章 漂う
―――夢をみた。
ワンルームマンションのベッドにて呆けたように起き上がり、
朱里【あかり】は現との境目でさまよっている。
虚ろで気持ちがいい。
『ああ……
夢かぁ…』
リングの付いていない左手薬指を見て、
やはり夢だったと思う。
『………いけない、遅刻しちゃう』
ベッドから抜け出して顔を洗いお湯を沸かす。
時刻は朝7時を過ぎていた。
寒さが残る春の朝。
朱里はスーツ姿で自宅マンションに鍵をかけ、
会社へと向かう。
「おはようございまーす」「おはよう」
社員たちが門をくぐり、
出社する。
『朱里おはよー!』
肩をポンと叩かれ、
振り返ると朱里とは対称的な容姿の果奈未【かなみ】がニッコリ笑っていた。
同期入社の友達。
もっとも彼女は入社1年目で上司と結婚し、
今は一児の母である。同じ24歳。
ウェーブがかかった長い髪。
明るい髪色と気さくな性格は、
彼女自身を体現している。
『………朱里、
大丈夫?』
果奈未がおずおずと訊ねた。
『え?
………ああ(笑)もう大丈夫だよ』
朱里は穏やかに笑って返す。
果奈未はホッとしたように、
『そっか!あ〜〜〜仕事だるいねぇ』と伸びをした。
ワンルームマンションのベッドにて呆けたように起き上がり、
朱里【あかり】は現との境目でさまよっている。
虚ろで気持ちがいい。
『ああ……
夢かぁ…』
リングの付いていない左手薬指を見て、
やはり夢だったと思う。
『………いけない、遅刻しちゃう』
ベッドから抜け出して顔を洗いお湯を沸かす。
時刻は朝7時を過ぎていた。
寒さが残る春の朝。
朱里はスーツ姿で自宅マンションに鍵をかけ、
会社へと向かう。
「おはようございまーす」「おはよう」
社員たちが門をくぐり、
出社する。
『朱里おはよー!』
肩をポンと叩かれ、
振り返ると朱里とは対称的な容姿の果奈未【かなみ】がニッコリ笑っていた。
同期入社の友達。
もっとも彼女は入社1年目で上司と結婚し、
今は一児の母である。同じ24歳。
ウェーブがかかった長い髪。
明るい髪色と気さくな性格は、
彼女自身を体現している。
『………朱里、
大丈夫?』
果奈未がおずおずと訊ねた。
『え?
………ああ(笑)もう大丈夫だよ』
朱里は穏やかに笑って返す。
果奈未はホッとしたように、
『そっか!あ〜〜〜仕事だるいねぇ』と伸びをした。