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あいの向こう側
第9章 blue
――――昨年の真夏のこと。
『りかさん、
ちょっとだけギュッとしていい?』
『へ?』
私は行きつけの居酒屋で泥酔した友人のサリを介抱しているところだった。
『何つった?
ああ、サリここで脱いじゃダメー!』
へらへら笑いながらサマーカーディガンを脱ぐサリを押さえ込みながら、
私は顔馴染みとなった店員の早瀬蒼生【はやせあおい】に聞き返した。
いつものように会社の同期である友人サリと飲みに来ていた。
サリは気さくで明るく付き合い易い。
他の友人があまりお酒を飲まないので自然に2人して週末毎に〔居酒屋巡り〕をするようになった。
サリは一定の酒量を越すと突然暑がって脱ぎ始める癖がある。
私はサリの酒癖にも慣れていて、
脱ぎ始めると羽織り服の袖を素早く胸元で結ぶという〔奇策〕を持っていた。
レモンイエローのサマーカーディガンの袖を結び、
私は『あ〜、治まった…』と再び自分の焼酎割りを飲み始めた。
サリはこうするとそれ以上脱がないのだ。
酩酊しているサリをタクシーに乗せる役割も私。
それが板に着いている。
『りかさん、
ちょっとだけギュッとしていい?』
『へ?』
私は行きつけの居酒屋で泥酔した友人のサリを介抱しているところだった。
『何つった?
ああ、サリここで脱いじゃダメー!』
へらへら笑いながらサマーカーディガンを脱ぐサリを押さえ込みながら、
私は顔馴染みとなった店員の早瀬蒼生【はやせあおい】に聞き返した。
いつものように会社の同期である友人サリと飲みに来ていた。
サリは気さくで明るく付き合い易い。
他の友人があまりお酒を飲まないので自然に2人して週末毎に〔居酒屋巡り〕をするようになった。
サリは一定の酒量を越すと突然暑がって脱ぎ始める癖がある。
私はサリの酒癖にも慣れていて、
脱ぎ始めると羽織り服の袖を素早く胸元で結ぶという〔奇策〕を持っていた。
レモンイエローのサマーカーディガンの袖を結び、
私は『あ〜、治まった…』と再び自分の焼酎割りを飲み始めた。
サリはこうするとそれ以上脱がないのだ。
酩酊しているサリをタクシーに乗せる役割も私。
それが板に着いている。