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プリズムのかけら
第2章 Be Honest
「キスされて嫌になったんだろ?なのになんで、付き合おうって言われてる人がいる、なんだよ?ちゃんと断ってないってことだろ?断れよ、諦めさせればいいじゃないか」
何イラついてんだよ僕は。と、思うのに、収まらなくてまくし立てる。
「断ったよ……、でも、しつこいのよ。私、好きな人がいるから、って言ったのに……」
「じゃあその好きな人と付き合えばいいんじゃないの?」
「……言えないのよ。その人には。自分の気持ち」
「なんだよそれ。そういうのわかんないな。好きなら好きって言えばいいし、やりたい人とやればいいんじゃないの?」
ああ、まどろっこしい……。こういうの本当に苦手だ。そして七海が淡々と喋り始めた。

「……その人が恋に興味がなくて、誰かを好きになったこともないし、好きになるつもりもないし、なのに身体の関係はたくさんある大人ぶったガキ、って感じだから言えないって言ったら……?」


え……?あ……、僕のこと……?


そう気付いた時、ガラにもなく顔が赤くなるのがわかった。いや……、それは、そういう展開は……、予想外だった。そして、さっきからのイラつきの実体がムクムクと自分の中で肥大化していることに気付いた。


僕……、七海を他の男に取られるのは面白くないんだ。
これが、独占欲――。


「……。あー……、うん。……そうだな……、……そういう男はやめといた方がよさそうだよな、そりゃ……」
「で、でしょう……?」
「でも……、そいつが誰かに恋をすることが永久にないとは言い切れないだろ?」
七海が驚いた顔をしている。えーと、これ、ちゃんと伝わってるか……?
「……そんなこと、絶対ないと思ってたから……考えたこともなく諦めてた」
「そう、か……」
そうだよな。それが普通だ。僕みたいなのが簡単に女遊びをやめるとは、僕をよく知っていれば知っているほど、思わないだろう。実際、どうなんだ?僕は七海だけに恋することができるだろうか……?正直わからない、でも今初めて感じたこの独占欲を無視しちゃいけない……、僕の中でそれがハッキリしてきた。
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